覚悟の転職
こんにちは、しばです。
前回の葬儀会社編まででぼくは擦り切れていました。
というよりは、何かにハマっている気さえしていたのです。望む企業に行っても蓋を開けたら深い闇が待ち構えている。そんな感覚がトラウマになっていました。
葬儀会社の終盤で手を差し伸べてくれたのは、倒産の時に人事部長をやっていたBさん。(仮称)
ぼくの人事へのキャリアのきっかけとなった人物だったので、倒産後別々の会社に行った後、人事的な仕事の相談などをしていました。
Bさんとは倒産した営業会社では付き合いはほぼなく、ぼくがトップ営業マン、向こうが人事部長という立ち位置でした。
付き合いを始めると面倒見がよく、色々な話を聞かせてもらえて投機や投資をやっていたのもBさんが先でぼくは純粋に社会人のモデルとして憧れていました。
だからベンチマークはいつもBさんで(というより他を知らなかった)、自分の周りにいる悩んでいる後輩などを紹介しては相談に乗ってもらっていました。
尊敬するあまりそのBさんが務めている企業のこともよく知っていて、「オススメの企業」として、知り合いを紹介し入社の斡旋の手伝いみたいなこともやっていました。
そのBさんがぼくを誘いました。
なんというか、葬儀会社のタイミングも重なり渡りに船ですが今までのパターンで考えれば完全に危ない状況。
そんなことに注意を払えるほど余力がありませんでした、Bさんに師事を仰げること、年収の維持がマストでした。
それであれば多少の厳しさは成長の糧にすると意気込んでいました。
この時に付き合っていた彼女(現嫁)に真剣に説得をして葬儀会社を辞めることとBさんの元に行くことを深夜の居酒屋で熱く語っていました。
彼女は倒産の企業からずっと付き合ってほぼ全ての失敗を見てきていたので、相当な心配そうな顔をしていました。
入社と違和感
「30代を捧げます!」
なんていうことを言うくらいに、これまでの失敗を挽回するつもりと起業のエネルギーをBさんの元で爆発させてひと旗を本気であげようとします。
これまでの入社した企業と違うのは、
・上司になるBさんが長年信頼してきた尊敬できる人物
・Bさんが社長に惚れ込んで上場企業をやめて入社した企業
・Bさんを信頼して、ぼくの認める優秀な人材を先に送り込み活躍していた
と言うストーリーがあり、ぼくの中では信頼できる裏をとっているつもりでした。
入社時には先に入っていたぼくの知人と話し状況を聞いていました。元気そうにしていて少しホッとしました。
入社手続きをBさんと行うために会議室に入り、書類の説明を受けていると何かおかしい説明をしていると感じ取りました。
入社時の条件が違う…
そうです、まさかの同じトラップに引っかかったぼくがいました。
ぼくはそうしたことを防ぐために事前に年収や前職の給与の内訳をメールでエビデンスにして送っていました。(今でも残していますが)
入社書類に書かれていたのはなんと「期限付きの補填」、要は半年、1年と段階で補填が外れる仕組みだったのです。1年後には前職から150万円近く下がる設計です。
しかも補填をつけている最大の状態でも、前職を数十万円も下回る年収。「これは何かな?」と冷静になれずしばらくその、状況を掴みづらかったです。
Bさんは淡々と説明を進めていきます。
「同じ職種の同僚より上にはできなかったのと、実力主義だからさ、半年〜1年で昇格しちゃいなよ」
顔色は変えないようにしていましたが、流石に心の中はツッコミの嵐。
同僚の話は関係ない
補填の仕組みはなぜ今説明するのか
昇格する保証はあるのか
維持を約束したのは嘘か
時すでにとやらで、こちらが辞めて入社する段階での手のひら返し、信頼していたのが仇となり出鼻を複雑骨折で折られました。
こんなことあるのかと言う感じで、「多分しっかりとサポートはしてくれるだりろう」と半ばまだポジティブな自分がいたのは救いでした。
そこにあるアウトレイジ
認めてもらえるくらい頑張る。そう考えるくらいの気力は全然ありました。
そして、ぼくが低い立場と収入でスタートとなった同僚と初めての仕事。色々聞くとその同僚はBさんから相当気に入られている様子。
Bさんが入れ込むほどだから学ぶことが多そうだなと少し嫉妬と尊敬の複雑な感情を持ちました。
しかし、またここでまさかの展開。
「しばさんが入ってくれてよかった、私辞めるから」
待て待て、君とのバランスを取るためにぼくはどうやら低い収入に設定されていたのに。「辞める?」意味がわかりませんでしたが、その理由は話を聞いているとすぐに理解しました。
Bさんは表向きはとても良い兄貴分だが、社内の特に部下に対してはハラスメントが酷いとのこと。
同僚はなんとか後任を待ち退職のタイミングを図っていました。そこに、ぼくが見事に入社して同僚は晴れて退職をする。
そんな感じです。
半ば信じたくないのか信じれないのか、あまり素直に受け入れなかったです。
このパターンは何かの呪いなのかと思うほどにハマっていたと思います。
そして、追い打ちと言うか営業部が主体の営業会社であること、体育会系のノリの勢いある会社だということはよく聞いていたのですが現場を見るのは初めてでした。
入った事務所は今まで見てきた会社とは別世界。
映画のアウトレイジそのものでした。
飛び交う怒号に、ギラギラのネックレスとアイロンパーマの中年。
日サロ通いがわかる色黒のお兄さん。
走り回る新人と立ってテレアポをずっとしている営業マン。
いたるところにある、威圧的な言葉で書かれた目標の垂れ幕。
今まで経験した企業のどこよりもインパクトがあり、雰囲気に圧倒されました。
入社条件の嘘、環境のどぎつさに「これはヤバイ」と直感で感じて、人生にもう逃げ場も何もないと絶体絶命を入社数日で痛感しました。
ここがブラック企業体験の深淵、暗くて周りが見えないくらい。
これから5年間と言う長期間、骨の髄まで体感することになりぼくの人生を大きく動かす原体験の塊です。